こんにちは、代表の久米です。
先日のテレビ取材(過去ブログ:http://soma-wood.jp/wp/?p=939)、そして本日の放送を振り返ってみたいと思います。
テレビ取材(全国放送)は未経験だっただけに、どの程度反応があるのか期待半分・怖いもの見たさ半分、と言った心境で放送を迎えました。
普段、個人的にテレビを見ることがほとんど無いので、昼食時にテレビのスイッチを入れ、前番組の黒柳徹子さんって昔から変わらないよなー、などど呟きつつ、ホントに放送されるんだ、と実感が徐々に湧いてきました。
今回の番組テーマは「林業女子」でした。この言葉も随分と定着した感がありますが、森と関わりの少ない層にとってはまだ新鮮に映るのかもしれません。
取材のお話を頂いたきっかけは、『森で働く 27人の27の仕事』(学芸出版社、古川大輔・山崎亮編著)だったようです。(書籍リンク http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1339-9.htm )
この本が5月に出版されて以来、あちこちからお声を掛けていただく機会が増えました。
そして、直接的にはテレビ朝日からとある林業女子Iさんを通じたご紹介でもありました。
特集のトップバッターは奥多摩で枝打ちをされている女性でした。偶然、自分の女房と同じ名前だったので、余計に親しみが湧いた気がします。(関係ないですね)
この女性の場合、所属する会社との関わりがほとんど見えない形で編集されており、その後の弊社の林業女子ワタナベと比べると随分違った印象を受けました。やはり、「女性だと大変でしょ?」という言わばステレオタイプの視点でまとめられていたのは次への布石だったのでしょうか。
ところで、今回の取材は1泊2日で行われました。事前の電話打合せで、林業女子の生活を一部始終収めたい、○○という問題提起を盛り込みたい、等々とのことでしたので、伐採作業の現場への行き来を考慮すると1日では無理ですね、となった訳です。依頼があってから取材日まではとてもタイトなスケジュールでもあり、メディアって自分勝手だな~、現実とかけ離れた編集されたら困るな~、などと多少不安な気持ちになったのも事実です。
さて、本編です。
番組のストーリーは、「林業女子」なるものが増えつつあり、3Kの代表格である林業という職業に果敢に且つ健気に取り組んでいる。そして、女子だから難しい・できないこともある、などのネガティブな要素を多少クローズアップしながらも、成長していく過程を描いていく、と言うイメージ。
特に、弊社新人林業女子ワタナベのコーナー内の、狙った通りの位置に伐採できなかったシーンでは、女子であり新人だから失敗してしまった・・・的な色付けがされていましたね。普段は伐採ではなく補助的な作業を担当している、と言う辺りもちょっと??って感じですけど・・・。
伐採した木が、ズドーンと倒れない状態を「掛かり木」と呼び、間伐などの整備が遅れた森林ではよくあることです。(事故を誘因する危険な状態でもあります)
そして、重機やワイヤー牽引具などを使って木を倒すことは、伐採・搬出の現場で当たり前に行われていることなので、単純に失敗とは呼べないです。むしろ、どのように安全を確保しながら、且つどの機械器具を使って倒すか、と言うところがこの仕事の醍醐味でもあります。
以上を踏まえて細かく解説するとしたら、弊社の林業女子ワタナベは、チェンソーを使って伐採はできるが、その前後の判断やその他の機械の扱いは非常に未熟である、ということになります。
そんなテレビ特有の脚色はさておき、
撮影当日と編集後で内容が大きく変わった部分がありました。
当初は、林業女子の苦労話と林業の持つ社会問題、と言う2本立てで撮影を進めていました。
林業の持つ社会問題とは、「境界」が不明瞭である、と言う点です。
日本の山主さんは、小規模分散的な所有形態、つまり小さな面積をあちこちに所有しているパターンがほとんどで、一か所にまとまっていない。そして、その所有境はかなり曖昧というか不明になっている状況が多いのです。折角、森林を整備しようと思っても、どこからどこまでが誰の山林か分からない、ってことが日常的に起こっているのが現状なのです。街中だと有り得ない話ですが、山の中では「あー、またか」という感じ。
「原野商法」(ウィキペディア参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E9%87%8E%E5%95%86%E6%B3%95 )という詐欺話を聞いたことが有るでしょうか?知らない人はなんでそんなこと騙されるんだ、とお思いかもしれませんが、山林に関しては大いに有り得ます。
法務局に登記されている山林があるとします。そこには、当然所有者名や地番、面積、地目などが記されている訳ですが、大げさに言えば、この日本のどこに位置しているか、と言う情報は記されていないのです。
この状況は、真面目・不真面目問わず、山林に関わる人間にとって非常に大きな問題となっています。
山林を売買する場合はもちろんのこと、間伐などの森林整備の承諾を取る際にも難航する原因の一つです。
そんな社会問題を多少なりとも解決できる場合があります。
弊社のようなキコリ会社が、山主さんに森林整備を提案する際、ついでに所有境をはっきりさせることもサービスの一つとして提供するからです。(うまくいかない場合も多々あります)
そんな弊社のサービス事業、つまり山林の所有境を探索する場面を、ワタナベが苦労しながら取り組む、という絵を随分と撮ったのでした。
しかーし、本番当日には、これっぽっちも放送されませんでした・・・。
この理由は、番組をご覧になられた方なら、雰囲気を理解していただけると思います。
最終的に番組のテーマは、「林業と林業女子個人」というイメージに差し換えたのだそうです。
なぜ林業を選んだのか?
現在の暮らしはどんなのか?
どんな思いで働いているのか?
などなど、 ワタナベ個人にとても寄り添った形で編集してくださったらしい。
これは、却ってありがたいことだな、と正直思いました。
なぜなら私自身、Iターンでこの地域に住み着き、家族を持ち、事業を始めた、という経歴の為、林業やるならその地域に住み込むことが、まずもって前提になるべきだ、という考えを持っているからです。
現在、弊社のメンバーは全員、私が住む周囲車で5分圏内で暮らしています。その半数以上は私同様Iターン者です。(母数が小さくて恐縮です)
今後も可能な限り、同じ地域に住み込める人を優先的に採用していく方針です。街から通っている限り、きっと肌で感じることのできないナニカがあると思うのです。
実は、ワタナベが住んでいる社員寮の大家さんは、山主さんであり、弊社に山林を全て任せてくださっている方なのです。今回のインタビューで、『亡くなった主人が喜ぶような・・・』とのコメントを頂き、正直胸にこみ上げてくるものがありました。
最後に、番組内で私はかなりキツイ社長のように見えるそうです。
これも内緒の話ですが、収録に先立ち、『いつもより厳しめでお願いします』と耳打ちされていたのです。
なるほど、そういう絵の方が面白いよね、と頷きました。
ただ、誤解を招かないように言っておきたいことがあります。
それは、あの指導シーンは、全くの素の状態です。特に、いつもより「厳しめ」ではありません。
当然のことながら、ああいった状況で男子と女子を区別することもありません。
なぜなら、林業とくに立木の伐採は、一歩間違えれば死亡事故を引き起こすからです。
林業女子であれ男子であれ、メンバーは何よりの宝です。だからこそ厳しく叱りつけます。
弊社の自慢の一つに、創業以来、チェンソーによるケガ等は一切起こしていないことが有ります。
今後も継続できるよう努めて参ります。
視聴してくださった皆さん、そしてテレビ朝日の皆さん、どうもありがとうございました!
11月 4th, 2014 at 11:08 PM
お疲れ様でした。 タイトルからすれば 、、、女子 というところからの切込みだから その女子の日常生活に焦点をあてるのは 自然ですね、まして お昼のワイドショー的な番組での紹介ってこともあるしね。 千草さんという名前は笑ったよ。 3年目の割には(?)木登りや小枝の伐採 上手だったね。 あと あけみさんの登場はびっくりした! 御主人亡くなられていたんだね。 いずれにせよ 渡辺さんが 引き続き林業女子でいられ続けることを 願っています。